この記事では、一般家庭の人が電力会社を切り替える際に覚えておいたら役に立つかもしれない用語として、
- 「低圧」と「高圧」
- 「電灯」と「動力」
- 「規制料金」と「自由料金」
について解説します。
※本記事の情報は2024年3月の投稿時点のものであり、今後変更される場合があります。
「低圧」と「高圧」
電力会社との契約は、「低圧」と「高圧」の2種類にざっくりと分けることができます。
基本的に、工場などと比べると電気をあまり使わない一般家庭は「低圧」で、電気をたくさん使う工場や大規模マンションなどは「高圧」で契約しています。
つまり、一戸建てやアパートなどに住んでいる一般家庭では従量電灯などの「低圧」(低圧受電)で契約していることが多いですが、大規模なマンションなどに住んでいる場合は「高圧」(高圧受電)の契約になっていることもあります。
「高圧」の電気契約になっている場合は基本的に、大家さんや管理会社などが一括して電力会社と契約しているため(高圧一括受電)、個人で電力会社の切り替えができません。
ちなみに、電気料金単価は「低圧」の方が高いですが、「高圧」の場合はキュービクルの設置が必要になります。
もし契約内容が「低圧」か「高圧」かわからない場合は、キュービクルが設置されているかどうかが一つの判断材料になります。
より詳しい内容は、以下の記事で解説しています。
キュービクル
キュービクルとは、6,000V以上の「高圧」(高い電圧)の電気を100Vや200Vの使える電気に加工するための箱型の設備で、「キュービクル式高圧受電設備」などとも呼ばれます。
電気を受けて電圧を低く変換する設備のことを「変電設備」と言いますが、キュービクルにも「変電設備」と書かれています。
大規模マンションや商業施設などの高圧(受電)契約をしている建物では、敷地内や屋上にキュービクルが設置されています。
キュービクルの設置が必要な「高圧」契約は、「低圧」契約よりも電気料金が安いというメリットがありますが、キュービクルの設置やキュービクルの定期点検などに費用がかかるというデメリットもあります。
そのため電気料金が安い「高圧」契約でも、タワーマンションなどのたくさん電気を使う建物でないとトータルでコスト削減できないので、一般的なアパート・マンションの場合は「低圧」契約が多いです。
「電灯」と「動力」
上述の『低圧』契約(低圧受電)の電気料金プランは、「電灯」と「動力」の2種類に分けることができます。
「従量電灯」などの「電灯」プランは、照明やパソコンなどの家庭用の電化製品(電灯や小型機器)しか使わない一般家庭向けの電気料金プランです。
一方、「動力」プランは、大型エアコン・大型冷蔵庫・工作機械などの電気をたくさん消費する業務用機器を使う商店や工場向けの電気料金プランです。
そのため、『低圧』契約をしている一般家庭の人であれば、「電灯」プランになっていると思います。
なお、「動力」プランは「低圧電力」と呼ばれることがあります。「電灯」プランも低圧の電力契約ですが、「低圧電力」プランと言えば「動力」プランのことです。「電灯」プランはプラン名に「電灯」と書かれていないものも多いので、「低圧電力」(動力)プランと間違えないように注意しましょう。
また、「電灯」と「動力」では使用するコンセントが異なります。「電灯」プランの一般家庭でよく使われるコンセントは単相100Vや単相200Vですが、「動力」プランでは三相200V用のコンセントが必要になります(単相100Vと単相200Vでもコンセントは異なります)。
「規制料金」と「自由料金」
上述の『低圧』契約(低圧受電)の電気料金プランは、さらに、「規制料金」と「自由料金」の2種類に分けることができます。
「規制料金」は、2016年の電力自由化前からある『従量電灯B』などの大手電力会社の料金プランのことで、今まで電力会社の切り替えやプラン変更をしたことがない一般家庭の人は「規制料金」になっていることが多いと思います。
「自由料金」は、電力自由化以降に作られた料金プランで、さまざまな種類のプランがあります。
なお、大手電力会社は「規制料金」だけでなく「自由料金」のプランも提供しているので、大手電力会社の電気を使っているから「規制料金」プランになっているとは限りません。
『電気使用量はそのままでも電力会社を切り替えるだけで電気代を節約できる』などとよく言われますが、これは、「自由料金」が「規制料金」よりもお得になる単価設定や割引などをしていることが多いためです。
しかし、「規制料金」と「自由料金」のどちらがお得になるかは、状況によって変わります。
燃料費調整単価
燃料費調整単価とは、燃料費の変動に応じて電気料金を調整するための単価のことです。
発電に必要な燃料費が上がれば燃料費調整単価も上がり、電気料金は高くなります。
一方、燃料費が下がれば燃料費調整単価も下がり、電気料金は安くなります。
ただ、燃料費の高騰によって電気料金が高額になりすぎないように、燃料費調整単価に上限が設定されている料金プランもあります。それが、『低圧』契約の「規制料金」です。
他方、同じ『低圧』契約の「自由料金」は、一般的には燃料費調整単価に上限が設定されていません。
つまり燃料費が高騰している時は、燃料費調整単価に上限がないために電気料金が無限に高額になり続ける「自由料金」よりも、上限がある「規制料金」の方が安くなる可能性が高いです。
しかし燃料費が高騰していない時は「規制料金」よりも「自由料金」の方がお得になることが多いので、「規制料金」と「自由料金」のどちらを選べば良いかは燃料費の動向・プランの内容・特典などによります。
ちなみに、燃料費調整単価は電力会社によって異なり、燃料費調整単価を使わない電力会社もあります。
電力会社・プランの切り替えの際は、燃料費調整単価やその上限の有無・燃料費の動向などについても確認しておきましょう。
まとめ
一般家庭の場合、基本的には「低圧」契約の「電灯」プランになっていると思います。
さらに、今まで電力会社やプランを切り替えたことがない場合は「規制料金」プランになっていることが多いと思います。
大規模マンションなどに住んでいる人は、「低圧」ではなく、キュービクルが設置されている「高圧」契約になっている場合もあります。
「低圧」契約の一般家庭の場合は、電力会社の切り替えの際は基本的に、「動力」(低圧電力)プランではなく「電灯」プランを選びます。また、「規制料金」と「自由料金」ではどちらのプランを選んでもよいですが、燃料費調整単価やその上限の有無などについても確認しておきましょう。
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