※ 当ブログではアフィリエイト広告を利用しています。商品・サービス等の外部リンクにはプロモーションが含まれている場合があります。

賃貸物件の退去費用についての考察

生活

過去に契約した賃貸物件の退去費用は約8万円(税込)でした。

この金額は妥当であったのかについて、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」と裁判所の判例などを参考に考察しました。

※私の解釈違いがある可能性があります。退去費用でお困りの場合は、専門の方などにご相談ください。

前提

まず、過去に契約した賃貸物件の退去費用を考察するに当たり、前提となる退去費用の内訳や賃貸借契約書の内容、賃貸契約時に口頭で受けた説明の内容、賃貸契約期間、退去時の部屋の状態について記述します。

退去費用の内訳

約8万円の退去費用の内訳は、以下のとおりでした。

ハウスクリーニング費用約40,000円
畳の表替え費用(6畳分)約30,000円
壁(クロス)の張替え費用(3㎡分)約 4,000円
その他損傷箇所の費用約 6,000円

賃貸借契約書の内容

賃貸借契約書には、以下のような内容が記載されていました。

  • 本契約が終了したときは、借主は本物件を原状回復して(ハウスクリーニング、畳の表替え、その他損傷箇所の復旧を含む。)、貸主に明け渡さなければなりません。
  • 原状回復工事は貸主が行い、その費用は借主の負担とします。

賃貸借契約時に口頭で受けた説明の内容(畳の表替え費用)

賃貸借契約時に、不動産会社から口頭で以下のような説明を受けました。

  • 退去時に6畳分の畳の表替え費用がかかります。
  • 表替え費用がかかる分、畳は清潔で安心です。

賃貸契約期間

賃貸契約期間は2年単位でしたが、契約更新により、合計6年以上は同じ物件に継続して住んでいました。

退去時の部屋の状態

畳のある和室についてはほとんど使用しなかったため、畳は損傷も汚れもない状態でした。

和室以外の部屋については、経年劣化による損傷の他に、適切に管理できずに汚してしまった箇所もあったため、ところどころ損傷や汚れがある状態でした。

壁(クロス)については私の管理ミスで汚してしまいましたが、汚した範囲は3㎡ではなく、1㎡以内でした。

退去費用の妥当性の判断基準

退去費用の妥当性の判断基準として、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」と、裁判所の判例を参考にします。

貸主負担か借主負担か?原状回復の原則

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」では、原状回復の原則として、以下のようなことが書かれています。

  • 経年劣化や通常損耗ではないキズや汚れを借主がつくってしまった場合のみ、借主負担で原状回復をする必要がある
  • 年数が経つほど借主の負担割合が減少する可能性がある
  • 次の入居者を確保する目的で行う修繕は、貸主の負担である

つまり、破損などしていない畳の表替えについては、次の入居者を確保する目的で行うものなので、原則、貸主の負担となります。しかし、借主の不注意や不適切な管理などが原因で、経年劣化・通常損耗ではないキズや汚れなどが畳にできた場合は、借主負担となる可能性が高くなります。

また、壁(クロス)は経過年数が考慮され、原則6年で残存価格が1円となるように借主の負担割合を算定することになっています。

賃貸借契約書は無効か?有効か?有効になるための条件

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」には、上記のように、原状回復の原則が記載されています。

しかし、賃貸借契約書にはこの原則とは異なる内容が特約として記載されている場合が多いです。つまり、本来は貸主が負担するべき費用なのに、借主が負担する費用として賃貸借契約書に書かれているのです。

このような場合でも、賃貸借契約書の内容によっては無効となることがあります。無効になれば、賃貸借契約書に『借主が負担する費用』と書かれていても、借主が負担する必要は無くなる可能性があります。

裁判所の判例などによると、原状回復の原則とは異なる賃貸借契約書の内容が有効になる場合とは、下記のような条件を全て満たす時だけです。

  • 建物のどの箇所にどれだけの金額を借主が負担することになるのかが明記されている
  • クリーニングや畳の表替えなどの、原則貸主が負担するべき費用について、きちんと借主に説明している(本来は借主負担ではないことを説明している)
  • 借主が負担する原状回復費用が相場とかけ離れていない

つまり、賃貸借契約書に『借主負担』と記載してあっても、上記のような条件を全て満たしていないと無効となり、借主が負担しなくてもよいという可能性がでてきます。

退去費用の妥当性の考察

以上の前提と退去費用の妥当性の判断基準より、退去費用の妥当性について考察していきます。

賃貸借契約書は有効か?

私の賃貸借契約書には、『ハウスクリーニング、畳の表替え、その他損傷箇所の復旧について、借主が費用を負担する』という内容が書かれていました。

この内容は、『経年劣化や通常損耗ではないキズや汚れを借主がつくってしまった場合のみ、借主負担で原状回復をする必要がある』、『次の入居者を確保する目的で行う修繕は、貸主の負担である』という原状回復の原則とは異なっています。

よって、この契約内容が有効になるには、裁判所の判例などの条件を全て満たす必要があります。

私の賃貸借契約書には、借主の負担する明確な費用(金額)も、本来は貸主負担であることについても記載はありませんでした。

したがって、契約書が有効になるための条件を全て満たしていないため、『ハウスクリーニング、畳の表替え、その他損傷箇所の復旧について、借主が費用を負担する』という賃貸借契約書の内容については無効になると考えられます。

退去費用は妥当か?

クリーニングとその他損傷箇所の費用

上述のとおり契約書は無効であると考えられるものの、経年劣化や通常損耗ではないキズや汚れを借主がつくってしまった場合は、原則、借主負担で原状回復をする必要があります。

私の退去時の部屋の状態は、経年劣化や通常損耗による損傷箇所もありましたが、誤ったメンテナンスをしていたり、使わない場所は長い期間点検もしなかったりして汚してしまった所もありました。

そのため、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」に書かれている、借主負担と考えられる損傷箇所が5点ほどありました。

ですので、約40,000円のハウスクリーニング費用や、約6,000円のその他損傷箇所の費用は、経年劣化や通常損耗分を考慮していなさそうで高すぎる気もしますが、妥当性が全く無いということは無さそうです。

畳の表替えと壁(クロス)の張替え費用

問題は、約30,000円の畳の表替え費用(6畳分)と約4,000円の壁(クロス)の張替え費用(3㎡分)についてです。

畳の表替え費用

畳の表替え費用を借主に負担してもらう分、畳は清潔だと不動産会社より契約時にアピールされましたが、そもそも次の入居者を確保する目的での畳の表替え費用は貸主が負担すべき費用です。(当時の私は知識がなく、その点を指摘できませんでした。)

退去時の畳にはキズも汚れもなく、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」に書かれている、借主負担と考えられる損傷箇所はありませんでした。

つまり、約30,000円の畳の表替え費用(6畳分)を借主である私が負担する必要は無く、畳の表替え費用は妥当ではないと考えられます。

壁(クロス)の張替え費用

壁(クロス)については、私の管理ミスで汚してしまったので、原則、借主である私の負担となります。しかし6年以上その賃貸物件に住んでいたことを考慮すると、壁(クロス)の残存価格は1円となっているはずです。

つまり、原状回復の原則にしたがうと、残存価格が1円の壁(クロス)の借主負担は1円になると考えられます。

ですので、約4,000円のクロスの張替え費用は、妥当ではないと考えられます。

なお、国土交通省のガイドラインには、

経過年数を超えていても継続して使用可能な場合は借主の負担となることがあることや、

クロスの張替え範囲を損傷範囲より大きくして借主に請求しても経過年数を考慮することで金銭的な負担が不当にならないと考えられる

ということも記載されています。

つまり、約4,000円のクロスの張替え費用は妥当であるという可能性も、もしかしたらあるのかもしれません。

しかし、私の場合はクロスの張替え範囲(3㎡)は損傷範囲(1㎡)より大きくされましたが、経過年数は考慮されていなかったので、やはり約4,000円のクロスの張替え費用は不当であるとも考えられます。

個人的には、年数が経って劣化しているものに対し、必要以上の面積を新品価格で借主に全額弁償させることは不当であると考えています。

まとめ

約8万円の退去費用の内、約3万円の畳の表替え費用と約4千円の壁(クロス)の張替え費用については、妥当な金額では無いと考えました。

残りのクリーニングとその他損傷箇所の費用についても妥当であるかは疑わしいですが、私のミスで汚した箇所もある以上、妥当性が無いことは無いと考えました。

結局、退去費用については少なくとも約30,000円~33,999円の範囲で損をしたという結論になりました。

退去費用で損をしないためにも、普段から適切な管理をするとともに、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」や裁判所の判例などを読んで、払わなくてもよいお金について学んでおく必要があると痛感しました。

コメント