チョコレートやココアの原料であるカカオは、健康や美容などの面で注目されています。
カカオの割合が高い「高カカオ(ハイカカオ)チョコレート」を食べたり、「純ココア」を飲んだりすると健康に良いと紹介されていることもあります。
今回は、健康面から見たカカオ(カカオを多く含む高カカオチョコレート・純ココアなど)のメリット・デメリットについて解説します。
カカオのメリット
カカオのメリットは、抗酸化作用の強いカカオポリフェノールや食物繊維であるリグニンなど、健康に良い成分が含まれていることです。
カカオを摂取することで、以下の健康効果が期待されています。
※カッコ()内は健康効果に関係すると考えられている成分です。
- 動脈硬化・高血圧・ガンなどの予防(カカオポリフェノール)
- アンチエイジング・美肌効果(カカオポリフェノール)
- 冷え性やむくみの改善(カカオポリフェノール、テオブロミン)
- ストレス緩和・疲労回復(テオブロミン、カカオポリフェノール)
- 脳の機能を向上させる(テオブロミン、カカオポリフェノール)
- 便秘解消・腸内環境改善(リグニン、カカオポリフェノール、カカオプロテイン)
- コレステロール値の低下・糖質の吸収を抑える・便臭軽減(リグニン)
- 虫歯・歯周病・口臭などの予防(カカオポリフェノール) など
このように、多くの健康効果が期待されていますので、カカオを多く含む高カカオチョコレートや純ココアが健康に良いと言われています。
なおカカオ含有量が少ないミルクチョコレートやミルクココアなどは、砂糖やミルクたっぷりのため、肥満・糖尿病・虫歯などの原因となり、上記の効果はほとんど期待できないと思われます。
カカオのデメリット
摂取量・体質・薬の服用
カカオには上述のような様々な健康効果が期待されていますが、摂取量や体質・服用している薬などによっては、健康を害してしまうというデメリットがあります。
カカオの過剰摂取や体質などによっては、以下のような症状が現れる可能性があります。
※カッコ()内は症状の原因と考えられるものです。
- 下痢・腹痛(不溶性食物繊維やカフェインの過剰摂取・カカオアレルギー)
- 頭痛・不眠(カフェインやテオブロミンの過剰摂取)
- 嘔吐・痙攣(カカオアレルギー)
- 肌荒れ・かぶれ(ニッケルアレルギー)
- 肥満(脂質の過剰摂取)
- 胃もたれ(脂質の過剰摂取・胃腸虚弱)
- 激痛・頻尿・残尿感・血尿(シュウ酸の過剰摂取・尿路結石)
- 歯が黄色くなる(食後に歯磨きをしない) など
高カカオチョコレート・純ココアなどのカカオ含有量が多い商品ほど、テオブロミンやカフェインの含有量も多くなる傾向があります。テオブロミンやカフェインには気管支拡張作用・利尿作用・興奮作用などがあるため、子ども・妊婦・感受性の高い人・同じ効果を持つ薬を服用している人などは特に注意が必要です。
また、カカオアレルギーなどでは、アナフィラキシーショックが起こる可能性があります。最悪、命に関わる恐れがありますので、微量の摂取でも気を付ける必要があります。
他にもココアやチョコレートには、激痛・頻尿・残尿感・血尿などの症状で知られる「尿路結石」の原因となる「シュウ酸」が多く含まれています。食べ過ぎないようにしたり、シュウ酸とカルシウムを同時に摂取したりして、尿路結石にならないように注意しましょう。
カカオのリスク
カカオには、他にも以下のようなリスクがあると考えられています。
- 残留農薬によるガンの発症
- カドミウムによる腎臓機能障害やガンの発症
- カビ毒(アフラトキシンやオクラトキシンA)によるガンの発症 など
上記リスクは、カカオの産地や管理方法・摂取量などによって問題ないと言われているものもあります。心配な方は、カカオの産地や商品の情報をよく確認したり、カカオ含有量が多い高カカオチョコレート・純ココアなどの商品を毎日大量に摂取するのを控えたりすると良いと思われます。
カカオが抱える問題
カカオは熱帯という限られた環境でしか育たず、気象の変化・病気・害虫に弱いなどの特徴があります。そのため、非常に栽培が難しいという問題があります。
さらに、地球温暖化やカカオの消費量の増加などという問題も加わって、カカオは2050年までに絶滅する可能性があるとも言われています。
この問題を解決するために、気象の変化に強い・害虫に強く農薬の使用が減らせる・生産量が多いなどの遺伝子組み換えカカオの研究が進められています。しかし、遺伝子組み換え作物の安全性については色々な意見があります。
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